映画放送趣味の部屋 ~ 表現主義
第一次世界大戦直前のドイツのベルリンを中心にして生まれた芸術運動で、人間の内面的な不安、激情、怒りなどを、ゆがんだイメージや非自 然主義的なスタイル、誇張した色彩などで表現した美術、文学、演劇などを指す。この表現主義を最初に映画に持ち込んだのがロベール・ヴィーネ監督の『カリ ガリ博士』(19)で、ヴァルター・レーリッヒら表現主義の画家たちが手掛けた、誇張されて不気味にゆがんだセットは先の見えないショッキングな物語と相 まって観るものの不安感を煽った。この作品の成功によってドイツ表現主義はブームになるものの、内容や表現にこの形式を流用しただけの作品が氾濫したため に一時的な流行に終わってしまい、第一次世界大戦が始まってナチスが台頭すると表現主義は退廃芸術として批判された。しかし、表現主義はフリッツ・ラングやビリー・ワイルダーといったドイツ映画人たちのアメリカ進出によって、ハリウッドで製作された怪奇映画、ミュージカル、フィルム・ノワールといった様々なジャンルに強い影響を与えた。