映画放送趣味の部屋 ~ フリー・シネマ
50年代後半のイギリス映画界で起こった芸術運動。50年代に入ると、イギリスではモラルと教養に守られた堅苦しい階級制度に反発する若 者たち(アングリー・ヤングメン/怒れる若者たち)が台頭し、彼らは文学や演劇を通してイギリスの若者たちが抱える矛盾や怒りを鮮やかに表現してゆく。運 動の余波は映画界にも波及し、若い映画作家たちは戦後のイギリスの閉鎖的な状況を訴えるドキュメンタリー映画運動(フリー・シネマ)運動を起こす。やがて 彼らは劇映画にも進出し、その先駆けとなったのがフリー・シネマ運動の中心的存在であったトニー・リチャードソン監督が56年に発表した貧しいトランペッ ト奏者の生活を描いたジョン・オズボーンの戯曲の映画化『怒りをこめてふりかえれ』であった。続いて、ジャック・クレイトン監督が上流階級への批判を大胆 な性描写を織り交ぜて描いた『年上の女』(59)を発表して全世界でセンセーションを巻き起こす。60年代に入るとフリー・シネマ運動は更に活発となり、 『土曜の夜と日曜の朝』(60)のカレル・ライス、『孤独の報酬』(63)のリンゼイ・アンダーソンらの登場によってフリー・シネマ運動は頂点に達する。 彼らの活躍はイギリス本国だけでなくアメリカでも高く評価され、リチャードソン監督の『トム・ジョーンズの華麗な冒険』(63)は63年度のアカデミー作 品賞を獲得した。