映画放送趣味の部屋 ~ フィルム・ノワール
直訳すると「闇の(黒い)映画」。40年から50年代に制作された低予算の犯罪映画や探偵映画をさす。犯罪者、または犯罪の世界に身を置 くキャラクターを主人公にして、フラッシュバックや登場人物たちの独白(ボイス・オーバー)を駆使して語られる複雑で難解なプロット、光と闇を対立させる ロー・キー照明を効果的に使ってミステリアスで退廃した雰囲気を作り出すライティング、主人公を悪の道へいざなう美しき悪女(ファム・ファタール)の存 在、破滅的な結末、ドイツ表現主義の影響、セックスやバイオレンス描写ヘの厳しい規制から逃れるための編集テクニックとストーリー・テリングなどが、黄金 の鷹の像をめぐる人々の醜い争いを描く『マルタの鷹』(41)や、美しい人妻にそそのかされて夫殺しを手伝う男の悲劇を描いた『深夜の告白』(44)など独特の雰囲気を持つサスペンス・スリラーを作り出した。また、共産主義、スパイ、核兵器など当時の世相を反映した恐怖も、ノワール映画のプロットに盛り込まれた。当時、これらの作品はアメリカでは低い評価を受けていたものの、フランスのヌーベルヴァーグの 監督達によってその素晴らしさが評価され、アメリカ製ノワールに魅せられたジャンリュック・ゴダール、ルイ・マル、ジャン・ピエール・メルヴィルらヌー ベルヴァーグの監督たちは、ヌーベルヴァーグとフィルム・ノワールを融合させた『アルファヴィル』(65)、『死刑台のエレベーター』(57)、『サムラ イ』(67)等のフランス製フィルム・ノワールを製作した。