映画放送趣味の部屋 ~ パン・フォーカス
撮影監督のグレッグ・トーランドが『市民ケーン』(41)で 完成させた、焦点深度が深い広角レンズで撮影して前景と後景の焦点を合わせて、どの被写体にもピントを合わせる事によって画面に奥行きを持たせるテクニッ クで、ディープ・フォーカスとも呼ばれる。黄金期のハリウッドでは前景の俳優を際立たせるだけでなく、セットの制作費を節約できる後景をぼかして撮影する 「ソフト・フォーカス」が主流であったが、オーソン・ウェルズやウィリアム・ワイラーら 舞台劇的な演出を好む監督達は、キャラクターたちの劇的な葛藤を一画面の中にとらえる「タテの構図」のパン・フォーカスを用いた長まわしを多用する事に よって1カットでその場面の状況を描写して、モンタージュでは表現できないリアリズム溢れるシーンを好んで作品に取り入れていった。