映画放送趣味の部屋 ~ シネラマ
50年代、ハリウッドがテレビという新しいメディアに対抗するために発表したワイド・スクリーンの1つで、35年にパラマウント社で特殊 効果を担当していたフレッド・ウォーラーとサウンド・エンジニアのハザード・リーブスが、39年のニューヨーク・ワールド・フェアのためのアトラクション として開発。146度に湾曲した縦8メートル、横16メートルの巨大なスクリーンに、3台の35ミリ・キャメラで撮影した3つの映像を同調映写機で映し出 すシネラマ独特の映写方式は、映像が微妙にズレたり切れ目が入ったりするものの、他のワイド・スクリーンにはない迫力がある。50年にラジオキャスターで 冒険家のローウェル・トマスと、ブロードウェイの興行師マイケル・トッドは、第二次世界大戦時に爆撃手の訓練用に使われていたこの方式に目をつけ、7チャ ンネルの立体音響を採用してシネラマ映画第一作となる紀行映画『これがシネラマだ』を52年に発表。シネラマは観客に好評を持って迎えられ、『シネラマ・ ホリデー』や『世界の七不思議』などシネラマを駆使した紀行映画を製作。62年にはメジャー・スタジオのM-G-M社と組んで『不思議な世界の物語』と 『西部開拓史』の2本の劇映画を発表する。しかし、シネラマ用の重いキャメラは動き回る映画撮影には向かない上に、費用も他のキャメラよりかかるため、 63年に公開された『おかしなおかしなおかしな世界』からは、3台の映写機によるシネラマは切れ目がなく1台の映写機で済む70mmのワイド・スクリーン に取って代わられてしまい、シネラマは7本のみの劇場用映画を残してその短い歴史の幕を閉じる。 ちなみに、シネラマの語源はアメリカン(American)の綴りを並べ変えたアナグラムである。