映画放送趣味の部屋 ~ アメリカン・ニューシネマ
60年代後半から70年代にかけて製作された、当時の怒れる若者たちの心情を反映して、リアルな人間像を過激な暴力や性描写で描いた映 画。60年代のアメリカでは、ベトナムにおける戦争の泥沼化によって若者たちによる反戦、反体制運動が激化し、これらはアメリカが抱えていた様々な矛盾を 表面化させる。アメリカの若い映画監督たちはこの矛盾に疑問を投げかけて、楽天的なハッピーエンド主義のハリウッド映画に挑戦するかのように、ハリウッド 映画のタブーを無視して斬新な内容や表現を含んだ全く新しい映画を製作するようになる。67年に公開されたアーサー・ペン監督による『俺たちに明日はない』は、 若者たちの無軌道な生きざまを過激なバイレンスを織り交ぜて描いてハリウッド映画にセンセーションを巻き起こし、その後、恋人の母親との不倫を扱ったマイ ク・二コルズ監督の『卒業』(67)や、ドラッグに溺れる無軌道なヒッピーの姿をデニス・ホッパーが監督、主演で描いた『イージー・ライダー』(69)な ど過去のハリウッド映画には見られないアメリカの旧体制に反発した自由で過激な映画が続々と発表された。「ニューシネマ」と呼ばれたこれらの作品の登場に よって、映画の性描写、暴力描写、そして台詞の表現は一段と過激になった。「ニューシネマ」という表現は『俺たちに明日はない』を特集したタイム誌の見出 し「ニューシネマ/暴力・・・セックス・・・芸術」から取られたもの。